椎体形成術を始めました。

骨粗しょう症の圧迫骨折にお悩みの方

圧迫骨折とは?

 脊椎は本来丈夫な骨で、健康な人で高所から転落するといった相当強い衝撃を受けない限り骨折を起こすことはありません。しかし、骨粗しょう症で骨がスカスカになったり腫瘍があったりすると、ちょっとした尻もちやくしゃみといった軽い刺激でも骨折を起こしてしまうことがあります。骨折により神経への圧迫等を生じた場合は手術が必要となる場合もありますが、多くの場合は痛みが最大の症状で、安静・固定と言った保存的治療が行われます。しかし、保存的な治療ではなかなか痛みが取れない場合や、骨折部分が癒合せず「偽関節」と呼ばれる状態になることがあり、背中が曲がってしまう(脊椎後彎)大きな原因となります。また、高齢者では安静・固定がそのまま寝たきりとなってしまう場合もあり、早期に痛みをとってあげることは大きな意味があります。こうした場合に行われるのが椎体形成術と呼ばれる新しい治療法です。

椎体形成術とは?

 1980年代から欧米で行われ始め、現在では毎年10万人以上の患者さんに対して行われています。日本でもこれまで自費診療や高度先進医療で限られた施設で行われてきましたが、ようやく保険診療が可能となりました。  圧迫骨折を起こした椎体に直接骨セメントを注入する方法(経皮的椎体形成術 PVP)と、骨折した椎体を風船で膨らませてからそのスペースに骨セメントを注入する方法(Balloon Kyphoplasty BKP)とがあります。保存的治療で痛みの取れない症例、骨折部が偽関節様になってしまった症例などが最も適しているとされていますが、症状やCT,MRI等の画像検査で最終的に適応を決めることになります。骨セメントの注入はX線透視やX線CTで確認しながら行いますが、当院ではCTでの確認を主として行っています。90%以上の症例でこの治療により痛みが大幅に軽減しており、このことが治療上の最大のメリットです。治療に要する時間は1〜2時間程度です。

副作用や合併症は?

 骨セメントが椎体外に漏れることによって起きる可能性がありますが、少量の漏れによる痺れなどの神経症状はほとんどが一時的なものです。血管内にセメントが流入することによる肺塞栓症も合併症の一つですが、臨床的に問題となるような重篤な合併症は稀です。外国では骨セメント自体の反応によるショック例が報告されています。

費用は?

 これまでは自費診療や高度先進医療という形で行われていましたが、2012年4月からは経皮的椎体形成術として保険診療が認められるようになりました。手術料は約20万ですが、実際の費用はこれに入院料等を加えた金額となり、その1~3割が個人負担となります。

ご相談は?

当院 整形外科 または 放射線科IVR外来まで
TEL(088)882-3126

圧迫骨折を起こした椎体(MRI画像)
(→の部分)


PVP治療後X線像
→の部分に骨のセメントが注入されています。

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